「わろてんか」 第100回
第18週 「女興行師てん」
北村笑店文芸部とリリコの相方探しの巻
伊能の会社は、
伊能商会と名を改め、
映画事業に加え、不動産、
百貨店など、多角経営に成功。
日本有数の企業に、
急成長していました。
てん) お願いします!
リリコさんを、北村笑店に下さい!
栞) 本気で言ってるのか?
てん) はい。
映画やレビューの世界では、
おなごが男はんの向こうを張って、主役
やってはります。
けど、万歳には主役に
なるおなごがいてまへん。
それはもった
いない思うんです。
うち、女流しゃべくり
万歳のスタアを作りたいんです。
お願いします!
栞) 君は、本気か?
リリコ) 映画はやりきった。
それに、もういっぺん高座に上がれ
る思たら、何や胸が震えたんや。
うち笑いが好っきやねん。
自分が笑うんも、お客さんが、
お腹抱えてわろてんの見るんも。
栞) 女優が芸人に。
失敗したらそれこそ、笑いものだ。
リリコ) わろてもろてなんぼの世界。
本望や。
栞) 君ほどの女優が、万歳をやる
いうのなら、話題性は抜群だろうな。
てん) ほな、北村笑店への移籍は…。
栞) 認めよう。
ただし…。
てん) ただし?
栞) 今撮影中の映画は、必ず予定通り
撮りきってもらう。
それと…。
てん) それと?
栞) 万歳師として成功したら、うちの
映画にもう一本、主役で出てもらう。
いいね?
てん) おおきに。
ありがとうございます。
伊能さん!
リリコ) さすが。
転んでもただでは起きんな。
栞) 寄席興行は男の世界だ。
大きな風穴を開けてやるといい。
てん) へえ。
**********
風太) 俺は反対や。
てん) え、何で? リリコさんは
もともと芸人さんやったし…。
風太) 娘義太夫やめて何年や? え!
万歳はそんな甘いもんちゃう。
それにな、社員全員万歳大会の準備
で大忙しや。
誰も協力できんぞ。
社員) 芸人の資料どうなってんねや?
社員) こちらになってます。
社員) 万歳大会まで日ぃないねんで。
はよせえよ!
社員)はい!
風太) な!
**********
トキ) まずはどんな芸風にするかですな。
てん) うち、リリコさんの歌を
生かしたらええ思う。
リリコ) え?
てん) 民謡や音頭やのうて、流行の歌
取り入れたらお客さんにウケるやろし。
はやりの歌が出る度にネタができます
やろ。
リリコ) ああ〜!
名付けて、流行歌万歳。
トキ) 流行歌万歳。
てん) うん。
リリコ) そのまんまやな。
ええけど相方は?
てん) ああ…。
リリコさんに釣り合う
相方さんいうたら…。
歌子) そら北村笑店で一番ええ男
あてがわなアカンやろ。
絶世の、美男美女万歳や。
てん・トキ) 絶世の、美男美女。
キース) アホな事言うな。
しゃべくり万歳は顔やない。
ここ(口)とここ(頭)で勝負するんや。
アサリ) 大体、芸人にそんなええ男
おるはずないやろ。
万丈目) あのね、
ネタを引っ張んのは男。
ね!
リリコさんはね、きれいな顔で、フン
フン聞いてれば、よろしいんですわ。
それが、まあ万歳の王道ですわな。
ごりょんさんもね、悪い事言いまへん。
興行の事は、男に任せて…。
歌子) じゃかあしいわ!
うちかてあんたと万歳してた頃は女
が出しゃばるなとかさんざん言われ
たわ。
うちはごりょんさんの味方や。
なんぼでも力貸しまっせ!
トキ) それは百人力ですな。
てん) おおきに。
歌子) ほら、男は出てき。
今日からここは女の砦や。
キース) え? ちょっちょっ…。
まだ飲んでへん!
歌子) おい、行け! はよ! はよ!
**********
(「女流万歳作家 採用面談会場」
と書かれた貼り紙)
風太) 何や女ばっかりやないか。
もう〜勝手な事して。
万丈目) どうせ文学趣味のお嬢様
でっしゃろ。
役に立ちませんわ。
**********
てん) まだ、学生さんですか?
応募者) はい! そやけど、
小説家になるのが夢で…。
応募者) 悲劇としか見えない結末を、
チェーホフは喜劇だと言ったのです。
人もライオンもワシも雷鳥も、角を
生やしたシカもガチョウもクモも…。
**********
歌子) これという人は
なかなかおらへんなぁ。
てん) やっぱり大事なんは、
笑いが好きやいう事やろな。
トキ) う〜ん。
笑いが好きで、文才が
あって、寄席の事もよう知ってはる
お人なんて、いたはりますやろか?
(ノック)
歌子) はい!
てん・トキ) 楓さん!?
楓) うちを採用せえへんかったら、
北村笑店にとって大損です。
(履歴書を出す楓)
**********
てん) 楓さんは新聞記者さんで、
万丈目はんが万歳作家になる
きっかけの仕事もくれはりまし
たんや。
寄席に詳しいお人です。
トキ) そのず〜っと前は、藤吉さん
の許嫁さんでしたんやけどな。
楓) 言わんといてぇな。
リリコ) え? そやけど万歳作家なる
より、新聞社に勤めてた方がええ
と思うけど。
楓) 新聞記者も男社会や。
おなごの意見はなかなか通らへん。
けど、万歳やったら、おなごの秘めた
想い口に出したり、怒りや、悔し涙を
笑い飛ばせる。
それに、亡くなった藤
吉さんと、おてんちゃんのお手伝い
ができたらと思て。
てん) おおきに。
どやろ? リリコさん。
リリコ) ほな頼むで。
うちがスタア万歳師になれるよう、
ええ台本書いてや。
楓) 任しといて。
**********
楓) 杉田楓です。
万丈目先生に負けへんような大作家
になれるよう気張りますんで、よろし
ゅう、お願いします。
(拍手)
万丈目) 歌人気取りの新聞記者言わ
れましてもねぇ。
万歳作家とは違いま
すし。
それに、この忙しい時に、基礎
の基礎から仕込まなアカンのはねえ。
風太) ああ。
万丈目さんは万歳大会
の台本書くので手いっぱいや。
てん) それも考えて、
作家さんの卵も集めましたえ。
風太・万丈目) え?
トキ) これ履歴書。
男はんも面接来はったえ。
み〜んな三度のごはんより、
笑いが好きなお人らや。
あっ、これ台本も書いてきはって。
風太) 帝大卒に元教師て、
すごい経歴やな、おい。
万丈目) いや、確かにセンスは悪ないな。
若手や、芽が出んでくすぶってる芸人
さんにも、ぎょうさん作家さんおったら、
後押ししてあげられるかもしれんしな。
てん) ほな、いっそ文芸部にしまひょ。
風太・万丈目) 文芸部?
てん) へえ。
芸人300人のネタを支える、
北村笑店文芸部を作るんです。
万丈目) ああ…ええな!
いや、それやったら、
わては、文芸部の、部長でっか?
てん) そうですなぁ。
(拍手)
社員) よっ、部長!
社員) よっ、部長!
**********
電・栞) そうか。
いい作家が見つかってよかった。
電・てん) 万歳をどう書かはるか、
まだ分かりまへんけど、女もののふ
の心を持った面白いお人なんです。
電・栞) へえ〜それは楽しみだ。
電・てん) あとは、
リリコさんの相方さんや。
電・栞) 頼もしいな。
電・てん) へ?
電・栞) 女興行師として、
しっかりと道を歩き始めてる。
電・てん) そんな…まだまだです。
電・栞) いや、このままどんどん
攻めてくんだ。
僕も応援する。
電・てん) へえ。
おおきに、ありがとうございます。
ほな、失礼します。
電・栞) ああ。
(電話を切るてん)
てん) 「どんどん攻めてくんだ」。
へえ!
**********
専務) 社長の寄席道楽にも困ったもんや。
本業の映画は全部トーキーにしたおかげ
で、弁士と楽士が仕事とるないうて騒いで
るいうのに。
**********
作家) ぶ…部長?
万丈目) ああ、はい。
う〜ん、これな。
作家) はい。
万丈目) ここ。
下げがもう一つや。
作家) はあ。
万丈目) 「てるおはるお」は、もっと
こう、くだけた笑いの方が似合うな。
作家) はい、部長!
作家) 部長。
万丈目) 逆に、「ひじきわかめ」。
このコンビは、もっとこう、カタイ話の
方が似合うねん! 例えば?
作家) た…例えば?
万丈目) 税金の話や。
税金は、
誰でも興味ある話題やさかいな。
作家) はい!
万丈目) 万歳大会で、誰のネタが
一番ようウケるか、あんたら作家
も勝負やで!
作家) はい!
作家) はい!
てん) どんどん攻めていきまひょな。
楓) もちろんです。
**********
アサリ) 何や? おい。
キース) あいつらの目、見たか?
アサリ) 尊敬のまなざし
っちゅうやっちゃな。
キース) アホ! ちゃうわ。
あのギラギラした目、万歳大会で
優勝して、俺らの王座を奪ったろ
ちゅう目ぇや。
アサリ) え〜…。
キース) 人気にあぐらかいてる
場合やないで。
アサリ) よし。
わいらも万歳大会、出たろ。
キース) よっしゃ。
日本一の万歳師はキース・アサリや
いう事思い知らしたろ。
**********
リリコ) 万歳大会に出る?
てん) へえ!
リリコ) うちが? いきなりか?
てん) 万歳大会で成功すれば、北村
笑店を挙げて売り出す事ができます。
歌子) そやけど、失敗したら?
リリコ) 心配せんでええ。
うちが失敗なんかするかいな。
分かった。
万歳大会出たるわ。
てん) よかった! そしたら、楓さん。
楓) へえ。
あっ、まずは、流行歌の伴奏
を、ガラッと変えたいなと思てます。
歌子) 伴奏を変える?
楓) 新しいスタア作るなら、
西洋の楽器です。
一同) ああ〜。
トキ) そやけど、顔がようて、洋楽器の
演奏ができて、しゃべくりもできる人て、
いたはるやろか。
リリコ) アカン。
映画の撮影行ってくるわ。
**********
一同) 楽士を解雇するな!
男性) トーキー映画、反対!
一同) トーキー映画、反対!
男性) 楽士を解雇するな!
一同) 楽士を解雇するな!
男性) トーキー映画反対!
一同) トーキー映画反対!
(男性とぶつかるリリコ)
リリコ) あ〜もう何すんの!
男性) すんません!
せ…せやけど、そっちが急に。
リリコ) あんたが
鈍くっさいからやろ!
男性) いや…そ…。
リリコ) はい。
(男性にハンカチを渡すリリコ)
男性) あ…すんまへん。
(牛乳まみれの体をリリコの
ハンカチで拭く男性)
男性) おい、四郎!
男性) はい、今!
リリコ) シロ…シロ!?
**********
「わろてんか」を楽しくご覧になってる皆様
は、この先は華麗にスルーでお願いします。
何でも都合よく話が進むドラマだとは分かっ
ていたけれど、あまりにも、都合がよすぎる
というか、カモがネギと鍋を背負ってやって
くるというか…都合良すぎで面白くな〜い。
ああで、こうで、そんな人いるやろか〜って
呟くと、その条件の人が現れるってーのが、
もしかしたら、もしかしたらだけど、作家の
渾身のギャグなのかもしれないけれど…。
オモロない。
オモロないからー! てか、ま
さに、お笑いの作家さんを募集して、「わろ
てんか」の脚本作りプロジェクトをつくるべ
きだったんじゃないの? てか、そうしてほ
しかったっていう、脚本家の心の叫び?w
食パンじゃなく、おそらくあんぱんと牛乳を
手にした四郎とぶつかる少女漫画展開?
次郎さん!…じゃなくて四郎さんですと?
最近、朝ドラ役者が続けて出るの、OKに
なっちゃったの? 前作の役柄を引きずっ
てしまうから、やめてほしいんだけどなぁ。
なんと、今日は100話目。
3分の2までき
てるというのに、何も心に残ってないぞ。
すごい! ある意味すごすぎる。
ここまで
存在感のないヒロインって。
いくらお飾り
社長を演じてるからって、お飾りヒロイン
ではあまりにもかわいそうじゃないか〜。
50歳頃までやるらしいけど、気の毒に…。
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